一般社団法人 日本ガス石油機器工業会 ヒートショックの恐るべき実態

入浴中の急激な血圧変動で年間1万7,000人が入浴中急死!

入浴中の死亡者数 東京都健康長寿医療センター研究所(東京都老人総合研究所)の報告によると、急激なヒートショックに関連して入浴中に急死したと推定される死亡死者数はなんと交通事故死者数(4117人 平成27年調べ)を大きく上回り年間17000人に及びます。

「ヒートショック」とは?冬に頻発!

入浴中の事故月別発生率 温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することなどが原因となり起こる健康被害のことで失神や心筋梗塞、不整脈、脳梗塞を起こすことがあります。
入浴時に急激な血圧低下により失神し、溺れて死亡するケースは、入浴時のヒートショックの典型的な例です。特に外気温が低くなる12月から1月の寒い時期は、入浴中に心肺機能停止となる人が多く、もっとも少ない8月のおよそ11倍に急増します。

入浴時に多発するヒートショック

急激な血圧低下 またヒートショックは体全体が露出する入浴時に多く発生します。
冬は、住宅内で暖房をしていない脱衣室や浴室では、室温が10度以下になることが珍しくないため脱衣室で衣服を脱ぐと、急激に体表面全体の温度が下がり、寒冷刺激によって血圧が急激に上がります。
この血圧の急上昇が、心筋梗塞、脳卒中を起こす原因のひとつとされています。さらに、一度急上昇した血圧は、浴槽の温かい湯につかることによる血管の拡張で、反対に急激に低下します。この急激な血圧低下が失神を起こす原因となります。

ヒートショックが起こりにくいのは北海道と沖縄 → なぜ?

冬季の室温イラスト 高齢者人口当たりでの発生件数をみると、47都道府県の中で、北海道と沖縄県が最も低頻度で、他の45都府県の発生頻度よりも明らかに少ないことが明らかとなっています。
このことから、ヒートショックは外気温の低さだけが引き金になるだけでなく、外気温が低くても住宅内の環境温度条件が保たれれば、入浴中に心肺停止状態に陥ったり、突然死する可能性は十分抑えられることを表してます。
実際、冬期の室温を県別に収集したデータを見ると、これら北海道と沖縄県が最も暖かいという結果が出ています。

ヒートショックを予防するためには?

ヒートショック防止には様々な方法があります、ぜひ実践しましょう!

①シャワーを活用したお湯はり


シャワーを活用した浴槽へのお湯はりは効果的。高い位置に設置したシャワーから浴槽へお温をはることで、浴室全体を温めることができます。

②ふだんの入浴で気をつけること


夕食前・日没前の入浴

夕食を食べる前、日没前に入浴することも良い対策法です。日中は日没後に比べ、外気温が比較的高く、脱衣所や浴室がそれほど冷え込まないことに加え、人の生理機能が高いうちに入浴することで、温度差への適応がしやすくなります。

食事直後・飲酒時の入浴を控える

食後1時間以内や飲酒時は、血圧が下がりやすくなるため、入浴を控えましょう。

湯温設定41℃以下

お湯の温度を41℃以下にし、暖めすぎないようにすると、急激な血圧低下を防ぐことができます。

ひとりでの入浴を控える

可能な場合は、家族による適切な見守りや、公衆浴場、日帰り温泉等を活用し、ひとりでの入浴を控えるといった方法も有効です。

③住まいの断熱改修や暖房設備の導入


冷え込みやすい脱衣所や浴室、トイレを暖房器具で温めることは、効果的なヒートショック対策となります。 また、窓まわりは熱が逃げやすいため、内窓を設置するなどの断熱改修で、外気温の影響を最小限に抑えることができます。 さらに、浴室をユニットバスへ改修することでも断熱性は向上します。最近では浴室や洗面所を暖房できる設備が充実してきており、新築やリフォームの際にぜひ導入したい設備です。

浴室暖房乾燥機の設置イラスト

暖房器具でヒートショック対策